2025 EWC 第4戦 ボルドール24時間 決勝レポート(9月20〜21日)
燃費性能を武器にSSTクラス首位を快走し、シリーズチャンピオンも視野に入れた終盤。しかし11時間、2年連続のエンジン破損で無念のリタイア。シリーズは5位で2年目を終えた。
2025年シーズン最終戦、Team Étoileは2年目の集大成としてボルドール24時間に臨んだ。大久保光・渡辺一樹・伊藤元治・奥田教介の4名体制に、市川貴志監督を中心とした総勢26名。シリーズチャンピオンの可能性を残し、なんとしても完走と上位を狙う一戦だった。
だが予選で波乱が起きる。第1セッションで大久保が転倒、さらに伊藤も転倒で負傷し、決勝を走れなくなってしまった。チームは予選2でマシンを修復し、大久保が自己ベストを更新、渡辺も好タイムを記録。グリーンライダー登録の奥田も決勝に向けて高いアベレージを示し、予選はクラス3位を確保した。決勝は伊藤を欠く3人体制で臨むことになった。
土曜15時(現地時間)、24時間の戦いがスタート。Team Étoileの武器である燃費性能が早速生きた。他チームよりピット回数を抑えられるため、1時間ごとの途中経過でSSTクラス首位を維持する好展開。渡辺・大久保のハイペースに、奥田も予選タイムを更新し続け、3人体制とは思えない安定したローテーションで周回を重ねた。
8時間経過時点でも上位をキープし、シリーズチャンピオンが視野に入る。ITS-Liveのデータをリアルタイムに活用した戦略、完成度の高いピットワーク、そして燃費性能——チームの強みが噛み合い、理想的なレース展開が続いた。
しかし11時間経過時点、無情にもエンジンが破損した。2年連続のボルドールでのエンジントラブルだった。昨年から回転数の抑制やスプロケットのロング化など対策を重ねてきたが、前年より短い時間での痛恨のリタイアとなり、シリーズチャンピオンの夢は絶たれた。
最終的なシリーズ結果は5位・86ポイント。目標のチャンピオンには届かなかったが、第1戦ル・マン4位完走、第3戦鈴鹿8耐優勝を含め、チーム力は2年目で大きく成長した充実のシーズンでもあった。SSTクラスはエンジン対策が限られる中、いかに24時間を完走するか——その困難な課題を胸に、Team Étoileは2026年、再びシリーズチャンピオンを目指して世界の舞台へ挑む。
ライダー・チーム代表コメント
ライダー
大久保 光
「ポイントランキングの状況から、最低限、常に41番と55番の前方を走行する必要があることは認識していました。スタートから119番のライダーが良いペースで走行しており、以前一緒に走ったことのある速いライダーでしたので、後方を確認しながら我々2台が一歩抜け出した状態を保ち、燃費を稼ぎエンジンを温存する走行を心がけました。追い抜くことも可能でしたが敢えて抜かず、良いペースメーカーを得た形となりました。最終的にチームが予想していた以上の燃費効率を達成し、2〜3周長く走行できたため、第1スティントでは良い仕事ができたと考えています」
「第2スティントは中古タイヤでの走行でしたが、1分55秒前半でラップすることができ、SSTクラスの中でも良いペースで走行できました。夜間にはブレーキトラブルが発生し、ペースを上げることはできませんでしたが、粘り強く走行を続け、1分55〜56秒で周回することができていました。良いペースを維持できていただけに、リタイアという結果に終わったことは非常に悔しく思います。今回は世界一を獲得する意気込みでレースに臨んでいたため、本当に悔しいの一言に尽きます」
ライダー
渡辺 一樹
「序盤はCHAMPION-MRP-TECMASが非常に良いペースで走行しており、トータルでは遅れをとる形となりましたが、自分のスティントでは多少の差を詰めながら走行できた場面もあったため、自分の役割は果たせたと考えています。ただし、8時間時点でポイント首位を獲得できなかった点を考えると、より大きなアドバンテージが必要だったため、自分自身の力不足も感じています。何よりも完走できなかった時点で、我々に何が不足していたのか、レース終了後からずっと考え続けています」
「(エンジンが故障した時は)ケアを受けながら画面を見ていましたが、暗い映像が映し出された時点で、白いツナギにアライヘルメット……。非常にショックでした。このEWCは年間4戦しかない中で、24時間レースの占める重要性は極めて大きいです。今年はル・マンで完走を達成したところから始まり、反省すべき点は多数ありましたが、昨年からの対策としてアルファレーシングもチームも様々な準備をしてくれた上で今回のイベントに臨んでいたため、結果に繋がらなかったことは、全員が悔しい思いをしていると考えています」
「映像を見た時点である程度はリタイアを覚悟していました。ボルドールはレース開始前からそのような可能性を十分に考慮すべきレースですので……。全てを整理できているわけではありませんが、終了した瞬間から現時点までストレスを感じています。映像を見た瞬間から、何ができたのだろうと考え続けています。2年連続でのリタイアであり、良い戦いができている中での"またか"という状況は、精神的に非常に厳しいものがあります」
ライダー
奥田 教介
「終始1位2位を争う展開が続いていました。チーム・エトワールは燃費効率が良好だったため、他チームよりもピットストップ回数が少なく、8時間経過時点では2位で通過することができました。その後2〜3時間経たずしてマシンが停止してしまいました」
「3コーナーのブレーキング時にシフトダウンした際、異音が発生し、トラクションコントロールが作動し続けているような音でした。トラクションコントロールをオフにしても改善されなかったため、エンジントラブルだと判断し後方を確認したところ、サイレンサーから煙が出ていました。これでエンジンが故障したと確信しました。サイレンサーからのみ煙が出ていたため、どうにか早めにピットへたどり着こうとコースの端を走行していましたが、あの煙の量ではオレンジボールの提示は避けられませんでした」
「渡辺選手も大久保選手も極めて良いペースで走行しており、私自身も予選のラップタイムを更新するペースで走行できていました。メカニック陣もほぼトラブルなく、他チームより速いピットワークを遂行してくれていたため、本当に順調でした。その矢先にエンジンが故障したため、非常に悔しく思います。これが24時間レースの厳しさですので、来年機会があれば、再びリベンジしたいと考えています。皆様、ご声援ありがとうございました」
チーム代表
市川 貴志
「2年連続でボルドールでのエンジントラブルによるリタイアとなり、シリーズチャンピオン獲得という目標を達成できませんでした。予選3位、8時間経過時点で2位と、レース展開は理想的でしたが、11時間でエンジンが破損し万事休すとなりました。昨年から回転数抑制やスプロケットのロング化など様々な対策を講じましたが、結果に繋がらなかったことは痛恨の極みです。しかし、チーム力は初年度と比較して大幅に向上しており、ル・マンでの4位完走、鈴鹿8耐での優勝など、充実したシーズンでもありました。SSTクラスではエンジンへの対策が限られますが、この制約の中でいかに24時間を完走するかは、困難であると同時にチャレンジのしがいがある課題です。来季も必ずシリーズチャンピオンを獲得し、この2年間の悔しさを晴らしたいと思います」